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2017年6月 2日 (金)

「思い続けていれば、いつか必ず叶う」は本当か?

 何日か前、書店に月末の支払いに行ったときに立ち読みした本の題名が、家に帰って2、3時間しか経っていないのに、もう思い出せなかった。
 幸い、カギとなることばは憶えていたので、検索してみたらすぐに見つかったのだが、ホントに、自分の記憶力の低下が恨めしくなる。

 その本とは「借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ」というもので(そんな長い題名、憶える方がムリか)、昨年の9月に発行されたものなのに、まだ平積みのコーナーにけっこう大量に置いてあったので、それなりに話題になっているのかもしれない。

 私も、つい手に取ったのは、その題名に惹かれてである。パッと見たとき、2000万円の借金を返せるほど事業が成功した、そのノウハウ本の類かなと思ったが、「私はこうやって2000万円を短期間で稼ぎました」みたいな直截的な題名だったら、眼に止まらなかったに違いない。
 「ドSの宇宙さん?」と、気になったのはその一点だけだが、ま、これは読んでみて、想像を超えた内容ではありました。それは、事業成功のノウハウとはまったく関係のない、心の持ち方と我が身に起こる現象の相関関係について述べた本だったのである。

 パラパラと捲ってみただけなので、断片的にしか憶えていないが、よくある、「絶対に成功すると心を決めるところからすべてが始まる」式の指南がいろいろ載っていて、事業にしても、成功している姿を思い描き、絶対にそうなると口に唱えるのだそうである。
 しかし、「かならず成功します」ではなく、「成功させてください」という心が奥底にあると、成功を願う卑屈さのみが増大する一方で、いつまでたっても成功しない、という趣旨のことが書いてあり、なるほど、いいところを突いているな、と思いましたね。

 おまえが人の心の働きのことなんか語れるのか、というお叱りは勘弁していただくとして、実はここ最近、私は大乗仏典・華厳経にあるとされる(原文を当たったことがないので、そう書くしかないのだが)「心は工(たくみ)なる画師(えし)の如し」という一句に、ずっと囚われ続けている。
 正しく書くと、「心は工なる画師の種種の五陰を造るが如く…」と続くそうで、日蓮の遺文などにも何カ所か引用されているが、「心は工なる画師の如し」という要約文もそれなりに世間に流布しており、本意は伝わると思う。

 意味は、あえて説明の必要はないかもしれないが、上手な画師が描こうと思ったものを何でも絵で表現できるように、人間の心には、思ったことを現実化する力が備わっている、というところでしょうかね。
 まぁでも、「仏教を信奉している人」に限ったとしても(本当はそういうことは関係ないのだけど)、思うように生きている人なんて、皆無とは言わないけど、自信を持って手を挙げる人は、ほとんどいないのではないかと思う。

 では、「心」「生命」が本来持っている「工なる画師の如」き力を発揮するためにはどうしたらいいか。仏教が宗教として展開していったのは、実はそこが出発点ではないか、というのが、私の仏教に対する一つのアプローチでもある。
 まぁそれは今日のテーマではないし、まだまだ思索の緒に就いたばかりなので、別な機会に譲りますが。

 さて、ネットショップ大手Amazoneの「借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんが教えてくれた超うまくいく口ぐせ」のレビューを見ると、評価した人は300人を超えていて、そのうち78%以上が★五つの評価である。さすがにちょっと驚きました。
 好評価のレビューとしては、「やる気を引き出してくれた」「自分の潜在力の引き出し方が分かった」とか、中には「宇宙と私の関係を思い出させてくれた」なんて、取りようによってはスピリチュアリズムか、などという書評もあった(ちなみに『ドSの宇宙さん』というのは、書評を見て判断すると、自身の強い意志で成功をもたらすことが出来る、その心の働きというか、大宇宙を貫く法則というか、そういうものを指しているらしい)。

 まぁこれでやる気を出して、人生の成功に一歩でも二歩でも近付くなら、それは「いい本に出会えたねぇ」と喜ぶべきことかもしれない。しかし、自分の理性だけで、「強い意志、決意」を持ち続けていくのは、たいへん困難なことでもある。
 むしろ大事なのは、心が挫けそうになったとき、折れそうになったときに、その心をどうやって立て直していくか、の方だと思う。書評を読む限りでは、そこに言及したものは見付けられなかった。

 なお、蛇足かもしれないが、著者はパワーストーンの販売を事業としている人のようで、本の中でも、パワーストーンを持つことの重要性に触れているという。
 本にはパワーストーン販売の直截的な広告・宣伝はないらしいが、パワーストーンのくだりまで読み進めて、たちまち興味を失ったというレビューも、わずかながらあったことは付け加えておきたい。

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